INNOVATORS

研究者に聞く、研究の魅力

北川 勝浩 先生イメージ
電子物理科学科

量子技術を発展させて、未知の領域に挑む
面白みです。

 この研究室では、量子力学に基づく新しい技術の研究に取り組んでいます。とくに、電子や原子核の自転に相当するスピンにより生じる磁気の研究です。このスピンを使って、スパコンより速い量子コンピュータや、未知の物質の性質を予測できる量子シミュレーターの実現をめざしています。その研究が、医療で使われる検査法のMRI(核磁気共鳴画像法)にも応用できます。体内の原子核スピンを利用した画像診断法ですが、2014年、私たちはその飛躍的な高感度化をもたらす成果を発表しました。感度が上がれば、今は静止画のMRI画像を動画にすることができ、抗がん剤のようにすぐには効きめがわからない薬が、どう体に効いているか、即座に観察できるようになるでしょう。ミクロの世界の物理学である量子力学を応用し、社会に役立つ技術に結びつけられるのが研究の魅力ですね。量子の世界に興味のある人は大きな夢を抱いて、ぜひこの道に加わってほしいと思います。

Profile

基礎工学研究科 システム創成専攻
電子光科学領域
北川 勝浩 先生

1981年、大阪大学工学部電子工学科卒業。83年 同大学院工学研究科電子工学専攻修了。同年日本電信電話公社(現NTT)入社後、91年NTT基礎研究所主任研究員。93年より同大学助手。96年同大学講師、97年同大学助教授を経て、2003年同大学基礎工学研究科教授。1999〜2005年JST CREST 核スピンネットワーク量子コンピュータ、2006〜2011年 JST CREST 分子スピン量子コンピュータ研究代表者を歴任。

西山 憲和 先生イメージ
化学応用科学科

ナノの世界がダイナ
ミックな「ものづくり」に結実します。

 化学工学は「ものづくり」の基礎となる学問です。私の研究テーマは主に2つ。まず分子を使い、ナノレベルの孔(あな)を持つゼオライトを作ること。次に、ゼオライトを「ミクロな化学装置」と捉え、この装置で新たな分子を生み出すことです。この小さな孔から、化学繊維や医薬品などの原料として必要な基幹化学品が生み出され、さらにその研究成果が石油化学プラントの設計につながっていきます。極微のナノの世界がビッグスケールの「ものづくり」に展開するのが、醍醐味でしょう。めざすのは、より低環境負荷・低エネルギー・低コストの基幹材料の開発を通して、エネルギー・環境問題を解決することです。研究は、描いた通りの結果もうれしいのですが、予想外の結果のほうが面白い。大きな発見や成果につながるからです。正解がわからない、という意味で研究は先生も生徒も対等。自ら考え、発見する面白みを体感できますよ。

Profile

基礎工学研究科 物質創成専攻
化学工学領域
西山 憲和 先生

1992年、大阪大学基礎工学部卒業。同大学院を経て、96年基礎工学部助手に着任。97年、同大学工学博士。98~99年、オランダ・デルフト工科大学研究員。11年より同大学教授。ナノ空間材料の構造制御と反応・分離プロセスの開発を通して、新しい化学工学の創成をめざしている。02年化学工学会奨励賞、04年化学工学会JCEJ Outstanding Paper Award 2003、06年日本膜学会膜学研究奨励賞を受賞。

和田 成生 先生イメージ
システム科学科

歴史ある学問に新たな可能性。次世代の医療も支援できます。

 機械工学と医学・生物学との融合を図り、発展させる比較的新しい分野が、私の取り組むバイオメカニクスです。歴史ある機械工学を生物に応用すると、今までわからなかった生体の仕組みや機能を探ることができ、新たな可能性が広がるのがやりがいです。例えば、動脈瘤が破裂するとき、血管にどのような力がかかっているのか。赤血球の細胞膜が破れるのは、膜がどのような力を受けているか。そんな生体のメカニズムを物理シミュレーションで解き明かすと、動脈瘤の治療や人工臓器の進化といった次世代の医療に応用できます。応用先は医療支援を中心にヘルスケア、スポーツなど多岐にわたります。大切なのは、軸足は機械工学だということ。基礎があってはじめてバイオメカニクスといった研究に発展させることができます。最先端の研究をめざす人には、大学4年間で専門的な基礎力を確実に身につけてほしいですね。

Profile

基礎工学研究科 機能創成専攻
生体工学領域
和田 成生 先生

1986年、大阪大学基礎工学部卒業。91年、同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了。工学博士。龍谷大学、北海道大学、東北大学を経て2006年より大阪大学教授。機械工学分野において、医学や生物学と融合したバイオメカニクス研究の普及に貢献。2014年よりWorld Council of Biomechanics 委員。2015年度日本機械学会バイオエンジニアリング部門長。

村田 正幸 先生イメージ
情報科学科

科学技術に革新を
もたらすこと。鍵は
異分野との融合研究です。

 社会インフラとしての情報ネットワークに必要なのは、故障時も復旧が早く、使い続けられるという信頼です。この研究室の大きなテーマは、生物が備える環境適応能力「ロバスト性」や進化能力を応用した、故障に強く信頼できる情報ネットワークの構築です。近年はNTTと共同で、生物の「ゆらぎ原理」をモデルにしたネットワーク制御技術を開発しました。もし大規模な災害が起こっても、光通信が途絶えにくくなると期待される技術です。このような成果は、生物学など異分野との「融合研究」によるもの。多様な異分野の研究者と交流すると、新たな知見や発想の転換が得られ、触発されます。融合研究を進め、科学技術にイノベーションを起こしたいですね。革新的な技術を開発したいという人は、この分野で面白いと思えるテーマが見つかるはず。誰も成し得なかったことを成し遂げられたときの喜びは、実に大きなものですよ。

Profile

情報科学研究科
情報ネットワーク学専攻
村田 正幸 先生

1982年 大阪大学基礎工学部卒業。84年 同大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。84~87年日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所研究員。87年より大阪大学勤務。99年大阪大学大学院基礎工学研究科教授。サイバーメディアセンター教授を経て、2004年より現職。基礎工学部兼任。

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